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平成29年   11月   12日  第2回鑑賞会 鑑定刀要旨  

(日野原大 講師) 『   』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス

鑑定刀 
1号 太刀 「宗吉」(古一文字)     【重要美術品】   穴2ツ  金着二重ハバキ

長さ 2尺 2寸 9分   反り 8分半              

 鎬造り 庵棟    磨り上げて茎先に銘が残る 
 小板目に小杢目交り、やや肌立ち地景細かに入る、鎬にかかる大きな『地斑映り』が見られる

直刃調に小互の目、小丁子足入り  細かに金筋・砂流しかかる

 帽子 直に小丸で返り僅か

 宗吉の太刀は重美に4口が指定されているが、本作が最も古調な作柄で古備前に近い』

『本作のように暗帯部が鎬にまで掛る映りは『黒映り』ともいわれ平安末期〜鎌倉初期のもの』

『古備前友成ならば鍛えはもっと肌立ち、映りも明瞭でない、むしろ同じ古備前でも正恒ならば

鍛えも精良であることより正恒鑑はありえる』

2号 刀  「無銘 伝 長義」                  穴1ツ    金着二重ハバキ(上蓋桐紋透)

  長さ 2尺3寸4分   反り 3分半      大磨上げ茎

  鎬造り  庵棟 身幅広め、反り浅く付き、大切先で典型的な南北朝期延文貞治型の姿

  板目に杢目交じり流れてやや肌立つ  地沸付き細かな地景交じり 乱映り立つ

  のたれ基調に刃沸付、互の目、尖り刃、丁子など複雑に交じり、焼に高低がある

  帽子 乱れ込み僅かに尖って返る        相州小田原 大久保家伝来

  彫物 表裏棒樋掻き流し

  『本作は同作中でも沸付が穏やかで、備前伝的な色彩が強い作例』

  『兼光はゆったりとした「のたれ」を基調とした出来となり、盛景ならば地鉄がもっと肌立ち

  地景風な異鉄が交る』

3号 刀  「備前国住長船五郎左衛門尉清光」            穴2ツ    金着二重ハバキ

        「天文二十四年八月吉日」

長さ 2尺2寸6分    反り7分                  

 鎬造り 庵棟  身幅広めに重ね厚い  中切先延び 先反り付き 室町後期の姿と見たい

  板目に杢目交じり 下半肌立ちごころ

  刃文  飛び焼交じりの腰の開いた互の目乱れ、足、葉、棟焼を交えて刃沸強い

  帽子 ほとんど丸く返り、僅かに尖りごころを見せ返り長く棟焼につながる

  『飛び焼交じりの場合、これらを除外してみると本来の刃文、複式互の目が見えてくる』

  『同じ末備前でも祐定や勝光ならば本作と比較すると鍛えが詰まり、より綺麗な地鉄となる』

  『物打ち辺の刃中の足・葉・が染みて長く垂れるところは清光の特徴として押える事が出来る』

4号 刀  「住東叡山忍岡邊 長曽祢興里作」             穴1ツ    金着一重ハバキ

       「延宝二年六月吉祥日」 

長さ 2尺3寸     反り 六分半                     

  鎬造り  庵棟  反り高い (同寸法の乕徹ならば5分〜5.5分位が通常でそれよりも高い)

  小板目よく詰み、ややザングリ、総体に地沸付き明るく冴える  

  刃紋 ハバキ元を短く焼き出し、のたれ調の互の目乱れ 足太く入り 数珠刃風となる 

  細かい砂流しを交えて、沸厚く匂口深く明るい

  帽子  表裏 横手で互の目を焼き込み、小丸に返り 所謂 『乕徹帽子』(まむしの頭) となる

 『初期のハネ虎時代は焼き出しが長く、後期のハコ乕時代は焼き出しが短い』

  『反りが深いところから「興正」の札も有ったが、匂口にバサケが出たり帽子の纏りに譲るところがある』

5号  刀  「武蔵大掾藤原是一」                     穴1ツ    金着二重ハバキ

 長さ 2尺 3寸 4分半   反り 7分

  鎬造り  庵棟

  板目総体に流れて ほとんど柾目がかる  淡く映り立つ

  丁子に互の目、尖り刃、玉刃を交えて総体に焼が高い  処々逆がかる

  帽子  横手を焼き込み浅くのたれ心に丸く返る

  『出羽守光平の場合はここまで総柾になることはなく、焼刃も丁子の房が様々な形状を示し

 変化に富み大小高低の変化がある』

  『福岡石堂の場合、本作より大模様で処々鎬を超えて「烏賊の頭」と称する菱形の刃が交じり

  帽子は乱れ込む』

  『是一の特徴として物打ち辺でいくぶん焼幅が高くなる傾向があり、本作にもそれが窺える』

                                                                                                            

平成29年   4月   2日  第1回鑑賞会 鑑定刀要旨

(日野原大 講師) 『   』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス

鑑定刀 

1号 刀 朱書き「来国光」

「七十七叟 松庵」  【特別重要刀剣】   穴2ツ  金着二重ハバキ

長さ 2尺 2寸 6分   反り  5分              

鎬造り 庵棟  身幅広めに 元先の幅差開かず 中切先延び心

板目に杢目交り肌立ちごころ 地沸厚く付いて地景しきりにかかる

中直刃調に小互の目交り 足葉しきりに入る沸厚く 金筋 砂流しかかり 刃明るい

帽子  表直調に 裏僅かに乱れて 小丸に返る

彫物 表、棒樋掻き通し  裏、棒樋掻き流しとなる(磨上げによる中心仕立ての結果であろう)

『上記の姿に先へも反りが付いていることより、鎌倉後期から南北朝初期と考えられる』

『来系の見所として、刃幅広めに沸出来の明るい中直刃に足葉しきりに入って足先が沸で

ふくらむという京物に見られる特徴が本作にも見受けられる』

2号 刀  「無銘 伝了戒」            【重要美術品】      穴3ツ    金着二重ハバキ

長さ 2尺2寸半   反り 5分        

鎬造り  庵棟  やや細身の姿

小板目詰み 刃寄りの肌が流れごころで 地沸付 地景細かく交り 沸映りたつ

直刃調に小互の目交り 足あるいは京逆足・葉も入り 匂口明るく冴える

帽子 直に小丸

『本作の場合、匂口も冴え鮮明な映りも見せるなど、むしろ来国俊を想わせる出来である』

『本作を了戒と見るべき点があるとすれば、鎬の高さと肌の柾目流れる点である』

3号 太刀  「備州長船次行」                        穴2ツ    金着一重ハバキ

長さ 2尺2寸6分    反り7分                  

鎬造り 庵棟  中切先やや延びこころ 身幅の割に重ね厚 鎬幅も狭め 

板目に杢目交じり流れごころ 肌立ち気味に地景風の地斑状を交え乱れ映り立つ

刃文 のたれ風に小丁子・小互の目を交え 足・葉・砂流し・金筋入って総体にこずんだ刃紋

帽子 乱れ込み 先小さく尖って返る

彫物 表裏棒樋を茎内で丸留

『地景状の黒い変り鉄が現われるのは小反りものに良く見られる』

『身幅に比べて重ねの厚い造込みは南北朝末期〜室町初期頃に見られる姿』

4号 短刀  「近江大?藤原忠広」                      穴1ツ    金着二重ハバキ

長さ 9寸6分   反 なし                     

平造り  庵棟  身幅広め 寸延び 重ね厚目

小板目よく詰み、地沸が細かく厚く付く 『小糠肌』 となる

刃紋 匂深く沸厚くつく直刃で、匂口の幅が明瞭な 『帯状の匂口』 となり明るい

小足入り 裏側中央に喰い違い刃あり

帽子   フクラに沿って丸く小丸に返り 先少し尖り心もあり

彫物 表・三鈷柄剣  裏・真の倶利伽羅

『肥前でこうした《小糠肌》に《帯状の匂口》といった作風が完成するのは初代であれば武蔵大掾忠広の時代以降となる』

『明寿の短刀は身幅の広い割に寸の詰まった包丁形のものが多く、倶利伽羅の彫りもまず見ない。 本作の龍の彫は下顎が角張った肥前特有の形状となる』

5号  刀  「為村上重君 石堂運寿是一精鍛造之」           穴2ツ    銀着二重ハバキ

        「嘉永七年甲寅歳二月日」

長さ 2尺 3寸 4分半   反り 6分半                  

鎬造り  庵棟  身幅尋常  重ねやや厚い 反りやや深めに元先に幅差がつく

小板目よく詰む

丁子主調に互の目・のたれ・尖り刃交り  匂口深く 沸厚くつき明るく冴え 金筋・砂流しかかる

帽子  のたれ込み小丸  返りやや深目

彫物  表裏棒樋掻き通し

『新々刀期に流行した大仰な体配に対して是一は本作のような比較的尋常な姿のものが多い』

『是一の丁子刃は頭が丸く足が長く、丁子と互の目の中間的な刃文がよく見られ尖り刃も交る』

『薫山の鞘書きに「倣志津とあり古作を意識したものとも思われる』


平成28年  11月  27日  第1回鑑賞会 鑑定刀要旨

(久保恭子 講師) 『   』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス

鑑定刀

1号 太刀 「来国俊 元亨元年十二月日」 【重要美術品】 穴2ツ  金着一重ハバキ

長さ 2尺 4寸 9分   反り  9分              【青山孝吉コレクション】

鎬造り 庵棟  踏ん張りあってやや細身で深い輪反り状となる

小板目処々大肌風も交じり 地沸つき沸映りというより乱映り風が見られ、地刃ともに明るい

小丁子主調に小互の目交じり 逆がかる刃も交じる  佩き表には「京逆足」が見られる

帽子  焼幅は深く小丸に返る

『来の「京逆足」は佩き表に出る事が多い、二字国俊の帽子は乱れ、国光は尖るもの多い』

『国俊や了戒には淡い乱れ映りが出る事がある』

『本作は上杉家伝来で、将軍足利義輝より長尾景虎(謙信)が拝領したもの』

2号 脇差  「長谷部国重」            【重要刀剣】      穴1ツ    金着二重ハバキ

長さ 1尺7寸半   反り 一分   重ね目立って薄い       【鈴木嘉定コレクション】

平造り  三つ棟  身幅広く反り僅かに付く

板目杢交じり 刃寄りの肌が流れて柾がかり肌立ち地沸付 地景交る

直刃調にのたれて 沸厚く 荒めの沸交じり細かに金筋砂流しかかる  棟を焼き下げる

帽子 大丸風に長く返り掃き掛ける  表、棟焼に繋がり断続的に棟区まで焼き下げる

彫物 表・素剣  裏・護摩箸

『脇差・短刀に直刃調のたれの刃文は国重に、太刀に直刃調のたれの刃文は国信に多い』 

3号 太刀  「備州長船住元重」        【重要刀剣】       穴3ツ    金着二重ハバキ

長さ 2尺3寸1分    反り7分                   【鈴木嘉定コレクション】

鎬造り 庵棟  踏ん張りがなく、先にも反りがつき、 身幅やや細身

板目に杢目交じり 総体に肌立ち 流れて柾がかる 地斑状を見せて乱れ映り立つ

刃文 総体に刃沸強め、角張る互の目主調に逆がかる乱れ、刃内側に向う陰の尖り刃交る

帽子 浅くのたれ 先小さく尖って返る

彫物 表裏棒樋を茎内で丸留

『元重の作中で本作は沸の強い方の出来』

『元重の刃の見どころはやや長方形となった角張るところと、谷がV字型になった陰の尖り刃』 

4号 刀  「藤原廣實」             【重要刀剣】        穴1ツ    金着二重ハバキ

長さ 2尺3寸2分   反 6分                     【鈴木嘉定コレクション】

鎬造り  庵棟  身幅広め やや踏ん張り心あり  反り浅く  中切先延びる

板目に杢目交じり肌立ち、これに沸が付き ザングリした肌目となる

焼幅やや狭めに小のたれに互の目尖り心の刃交じる 荒めの沸がややムラ沸となる 

処々小さな飛び焼、湯走り交じり  総体に匂口やや沈み心 刃区を少し焼き込んで水影たつ

帽子  僅かにのたれ込み 丸く返りやや掃き掛け

彫物 表裏とも棒樋 ハバキ元で丸留

『師の国広に非常に良く似た作柄で大半の方が国広に見られて結構でした』

『廣實の現存作は少なく 刀が3口、脇差が1口、短刀が1口 のみが知られている』 

5号  刀  「於南紀重国造之」         【重要刀剣】       穴3ツ    金着二重ハバキ

長さ 2尺 3寸 4分   反り 5分                  【鈴木嘉定コレクション】

鎬造り 庵棟  鎬高

板目よく詰み 中に杢目交じり流れる 裏やや肌立ち心に大肌風 地沸厚く付き鉄色冴える

小のたれに互の目 角張る刃も交じり沸厚く付き金筋砂流し交じり  匂口明るく冴える

焼き出しは浅い小のたれ調、表物打ち辺に鎬に掛けて湯走り状の飛び焼あり

帽子  横手を焼き込んで、表は直に大丸風、裏は大丸心に先一文字風 返り浅く掃き掛ける

『板目肌流れる中に独立した楕円形の杢目肌が現われるのが見どころ』

『帽子の状態が表裏でやや異なるのも南紀の特徴』

 平成28年 9月18日  テーマ鑑賞会 《平安〜室町期までの備前刀》  鑑賞刀要旨
(黒滝哲哉 講師) 『   』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス

1号 太刀 「正恒」       【重要美術品】     穴2ツ  金着一重太刀ハバキ
長さ 2尺 3寸 8分   反り  4分半

鎬造り 庵棟 やや細身で腰反り付き 先のほうは反り伏さり 小切先となる

小板目良く詰み 少し大肌交じり 地沸厚く明るく 地斑映り立つ  

直刃調に小互の目・小丁子交じり 小沸付き 細かな足・葉・金筋・砂流しなど交じる

帽子  表裏浅くのたれ込み 先焼き詰めごころ

『腰反りが付き先が伏さる姿に、暗帯部の高い地斑映りを考え合わせると平安末〜鎌倉初期の備前刀と
考え ることができる 』  鞘書より上野七日市藩一万石の前田家に伝来した事がわかる

 

2号  刀  「長光」                                穴2ツ    金着一重ハバキ

長さ 2尺 1寸 弱   反り 7分 

鎬造り 庵棟  やや細身で反りの高い姿  磨上げて中心先に銘が残る

板目肌良く詰み 地沸厚くついて明るく 鮮やかな乱映りがある

直刃調で処々小のたれ・小互の目が交り 匂口締まって明るく冴える

帽子 直調に浅くのたれて三作帽子となり 先は小丸に返る

彫物 表裏棒樋角留

『細身で反りの高い姿より古く見えそうだが、先に行っても反りが付いていて鎌倉後期の太刀と判る』

『直刃であって長光・真長が想定されるが、鮮やかな映り・冴えた直刃などより長光の方に分がある』

3号 短刀  「備州長船兼光」                   穴2ツ内1ツ埋める   金着二重ハバキ

         「延文五年三月日」

長さ 8寸2分    反り1分 

平造り 庵棟  身幅ほぼ尋常に反りが付き 重ねは薄い

板目に杢目交じり大肌交るも 総体に詰み 地沸細かに付き明るく 焼頭近くに淡く直映りたつ

刃文 焼頭の揃った片落ち互の目風、角張る乱れ、小互の目 などが交り匂口明るい

帽子 表乱込み小丸 裏のたれ込んで先が尖って返る

彫物 差裏に腰樋

4号 短刀 「備州長船倫光」                           穴1ツ    銀着二重ハバキ

        「康安元年七月日」
長さ 8寸3分   反 僅か

平造り  庵棟  身幅広めに反りが付き 重ねは薄い

板目に杢目交じり 肌立ち心  焼頭に沿って淡く直映りたつ

刃文 小沸出来 角張る互の目を主調に片落ち・小互の目・小のたれを交えて逆足も入る

帽子  表は乱込み先小さく尖って返る  裏は直調に入って先尖って返る

彫物  表裏刀樋

『南北朝期の短刀は大きく寸の延びた物の他に、本作の様に長さは左程では無いが反りが付いていてこの時代の姿と捉える事ができる』
『片落ち互の目の焼頭に直線を想定するなら、景光は互の目の頭が平になった線が直線上に並び、 兼光は線上に焼頭の高さが揃い、倫光他の諸工は線をまたぐ出入りのある感じの刃文となる』

5号  刀   「備前国住長船与三左衛門尉祐定」           穴1ツ    金着一重ハバキ

            「天文三年二月吉日」

長さ 2尺 1寸 2分   反り 7分

鎬造り 庵棟  先反りが目立つ

板目肌詰み  地沸細かによく付き 直状の映りがたつ

刃文 小沸出来 腰開きの互の目に互の目・丁子風の刃など交り足・葉・砂流し入り匂口明るい

帽子  表裏乱込み先尖りごころに 返りは長い

『寸法が詰まって先反りが目立つ姿に、映りや刃文に複式互の目が目立ち、帽子も焼きが深く返りも長い点より室町後期の備前刀と判る』

 

平成27年11月29日  第2回鑑賞会 鑑定刀要旨     日刀保 長岡支部

               (井本悠紀 講師) 『 』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス 

1号  刀  無銘 伝「長義」  【重要美術品】  穴2ツ    金無垢二重ハバキ
   長さ 2尺 1寸 7分   反り 6分
   鎬造り 庵棟  大切先  大磨上
   板目に杢目交じり総体に肌立つ  地沸細かに付き地景交り 乱れ映りたつ
   焼幅やや広めに互の目に丁子交り 足・葉 頻りに入り 小沸付いて砂流し掛かり金筋も交る
   帽子  表裏乱れ込んで掃き掛け 先尖り心に返る
   彫物  表裏  棒樋を掻通し 添樋は中心に残り、刀身には痕跡のみ
   『長義の見どころとされる「耳形乱れ」は短刀に出る場合が多い』
   『兼光であれば地鉄がもっと整い、刃文ものたれ基調の互の目乱れでゆったりとし、勾口も冴える』
   『本作は地刃に沸の強い所謂「相伝備前」より匂勝ちの「備前伝」風の作柄となっている』


2号  刀 「肥前国忠吉」              穴2ツ       金着一重ハバキ
   長さ 2尺 2寸 4分   反 3分
   鎬造り  庵棟  切先やや延びごころ
   小板目よく詰み 地沸細かに厚く付き 小糠肌状となる?下より水影が立ち鎬寄りに映り状に見える
   浅いのたれ主調に互の目交じりで足・葉入り  匂口は明るく冴える
   帽子はのたれ込み小丸 僅かに返る
   彫物  表裏  棒樋(両チリ)?元で丸留
   『慶長・元和頃の忠吉には「村正写し」「来写し」「大和物写し」などがある』
   『肥前の棒樋は「両チリ」となり、 水影も忠吉の初期作に見られる』


3号  刀 「村正」   二代            穴2ツ     赤銅着一重ハバキ
   「肥前国忠行摺揚之」(切付け銘・江戸後期の肥前刀工忠行が磨上げた事を記録した珍しい作例)
   長さ  2尺2寸8分   反 7分半
   鎬造り  庵棟  やや磨上げながら先反り強く 平肉の乏しい作り込み・・『室町後期の打刀姿』
   板目に流れ肌交じり 肌立ち気味  地沸つく  鉄色黒味がかり白けごころがある
   上半は直刃調浅くのたれ 下半は角張る箱刃風に乱れ、腰高の互の目・三本杉仕立の刃交る
   表裏の刃取りが揃い、小足・葉交じり 総体に細かな砂流し、棟焼きかかり、匂口沈み心
   帽子 焼き深く直に小丸 先掃き僅かに掛け
   『刀身の中程から上下で直刃と乱れ刃など刃取リを変えるのは室町後期の諸工がよく見せる手法』
   『平安城長吉は京物らしく地鉄は明るい精緻なものとなり、簡素であっても彫物が有る物が多い』
   『重美指定の村正が鍋島家の伝来であり、2号刀の鍋島家お抱えの忠吉にも「村正写し」があり、
    本作も鍋島藩の刀工が磨上げている事などにより幕藩時代における徳川幕府に対する鍋島家
    の考えを推し量ることが出来るのではないかとの推論もある』


4号  短刀 「貞興」 (保昌)            穴2ツ    上蓋金着下蓋銀着二重ハバキ
   長さ 8寸6分   内反りごころ               【鈴木嘉定コレクション】
   平造り   『保昌の柾目は切っ先は棟方に抜け刃区に向かってはねじれ込むように抜ける』
   総柾目細かく詰み、一派の特徴である「鍛え割れ」も表中程と裏中程と?元に見せる沸映りあり
   小乱れ交じりの細直刃 掃き掛け、砂流し、金筋細かに交じる 区を焼き込む
   帽子 焼詰め 裏・少し掃き掛け
   『保昌の短刀姿での差異でいえば、小振りの姿は「貞興」、大振りの姿は「貞吉」「貞清」に多い』
   『貞興は7寸台のものが多く本作は大振な部類といえる』
   『保昌の在銘作品は希少で、国宝〜重要刀剣までの指定品で言えば23点ほどしかない』


5号  刀  無銘  伝「青江」           穴2ツ            金着二重ハバキ
   長さ 2尺3寸1分     反り 6分
   鎬造り  三ツ棟 やや幅広 大切先    大磨上
   板目に杢交えて細かく肌立ち地沸付く 所謂『縮緬肌』となる 
   棟寄りに乱れ映り・刃寄りに筋状の映り 所謂『青江の段映り』を呈する
   直刃 匂口締まり心 小沸付き足葉交じり 逆足交じり
   帽子 浅くのたれ込み僅かに尖るか
   彫物  表裏 棒樋 樋先下がり、中心内で掻き流し
   『刃縁のみならず刃中まで白い色調に冴えるのは青江の一作風』
   『青江の中でも逆丁子を焼くのは「次直」、直刃を焼くのは「次吉」と見られる』

平成27年 4月19日  第1回鑑賞会 鑑定刀要旨

(大井 岳 講師) 『   』書きは当日講師の解説したワンポイントアドバイス
鑑定刀

1号  太刀   「国綱」 (古備前)       【重要美術品】  穴3ツ   金着一重ハバキ

長さ 2尺 3寸 1分   反り 6分 

鎬造り 庵棟  やや磨上げて、先やや伏さりごころ

板目に杢目交じり総体に肌立つ  地沸細かに付き 乱れ映りが上半は「地斑映り」に

焼幅広めに直調に丁子乱れ 上半はやや房の大きめの丁子、下半はやや小模様に

足・葉しきりに入り 総体に沸付き、殊に下半やや厚めに沸付く

 帽子  表裏直ぐに焼いて小丸ごころ

『乱れ映りに伴う黒い暗帯部が鎬を超えて現われる「地斑映り」から鎌倉前期の作品と判断される』

『古備前と見た中で「正恒」と「友成」を比べると「正恒」の方が鍛えが綺麗である』

『総体に沸付きが強く、鎌倉中期の長船物より古く見える』

『本作は鎌倉前期の天福(1233)頃の作品と推察され、旧土浦藩主 土屋家の伝来』

2号 刀 「奥大和守平朝臣元平」          穴1ツ   金着一重ハバキ

「寛政九己春」

長さ 2尺 3寸 9分   反り  分  

 鎬造り 庵棟  身幅やや広めに切先やや延びごころ 鎬幅狭い

 板目良く詰み 地沸厚く明るい  

のたれ調に互の目・尖り刃交じり 匂口深く明るく沸強く付き 沸筋・砂流し・金筋交じる

帽子  乱れ込み先尖り心に掃き掛け少し返る

『元平の姿はやや尋常なものが多く、大切先の豪壮な体配は伯耆守正幸に多い』

『正幸の地鉄の鍛接面には白く流れた筋状の肌が見られるが、元平には極めて少ない』

3号 短刀  「来国光」           【重要刀剣】        穴1ツ    金着一重ハバキ

長さ 9寸4分   反り 無反り 

平造り 三つ棟  

小板目肌良く詰み 地沸厚くついて明るく 沸映りあり

処々黒味がかった色の変わった肌合、即ち「来肌」が現われる

総体に直刃調で小互の目交りで浅く湾れて 小沸よく付き匂口明るく冴える

帽子 乱れ込み先尖り心に返る

『来国次との相違を挙げれば、本作に比べてのたれが大模様になる』

『大左であれば、もう少し小振りの姿が多く、反りが付き、帽子の返りも長くその匂口が締る』


4号 刀  無銘 伝「長船元重」       【重要刀剣】     穴2ツ    赤銅着一重ハバキ

長さ 2尺3寸3分    反り4分   

鎬造り 庵棟  身幅やや広めに切先が延びる      〈腰元の棟に切り込み瑕あり〉

小板目に杢目交じり 総体に肌立ち 流れて地斑ごころあり 乱れ映り立つ

刃文 総体に直刃調に仕立てた片落ち互の目風、角張る乱れ、小互の目 などが交る

帽子 乱れ込み 先尖ってやや深く返る

彫物 表裏棒樋を中心先近くで流れる  樋先は横手筋あたりから始まる

『本作は片落ち互の目というより間延びした四角い刃が並んだ感じで景光・兼光の片落ち互の目とは 異る』

『兼光であれば肌がもっと詰んで綺麗なものになり、倫光であれば小のたれ調となる』

5号 刀 「長幸於摂津国作之」         【重要刀剣】    穴1ツ    金着一重ハバキ

長さ 2尺2寸8分   反 5分  

鎬造り  庵棟  

小板目良く詰み明るく 淡く乱れ映りたつ

丁子に互の目交り、尖り刃、腰開き互の目、蛙子風の丁子、小さな飛焼かかり 

足・葉入り 匂口締り心で明るく冴える

帽子  少しのたれ込んで 表は尖り心 裏は少し丸みがかる

彫物 表裏とも棒樋を?元で丸留

『鎬に掛かる丁子の刃取りからは江戸の「光平」が想定されるが、江戸石堂であれば帽子は      丸くなる』

『江戸の「是一」であれば、肌は柾目が強く刃文も出入りの少ない小出来な丁子が多い』

『福岡石堂であれば「是一」の流れで、肌は柾目、刃は逆がかり、烏賊の頭といわれる先の尖った
字子が交る』